円清会会長挨拶
国立病院機構九州医療センター 岸原 康浩
本年度より円清会会長を勤めさせていただいております、九州医療センター勤務の岸原と申します。 
本年は九州大学病院総合診療部が開設され20年がたつという節目の年となっております。
新臨床研修制度の開始、またそれに伴い明らかになった医師の偏在の問題、いっそうの高齢化が進む社会事情など、総合診療医のニーズはこれまでになく高まっております。しかし、現状の総合診療医の立場や理解はまだまだと思われます。スペシャリストを重んじてしまう日本の風土や専門医からの総合診療医に対する不理解などは日々痛感するところです。20年経過した現状でもこのような状況ですので、創設当時の柏木征三郎前教授や林純教授の当時の苦労はいかほどか、察するに余りあるところです。
おそらく、日本型の総合診療医をあらためて考えていく必要があるものと思います。大学病院や当院のような地域基幹病院では、他の専門医から信頼を受けつつ日常の総合診療を行っていかなければなりません。そのためには林教授がホームページで述べられているように、自分のサブスペシャリティを持ちかつ全人的医療を行うコンセプトをしっかり持った医師を総合診療医として育てていくことが最も大切なことと思います。
九州大学病院の総合診療部は、創設以来臨床研究を重んじて前進してきました。研究を行うことでサブスペシャリティを養いながら、臨床の場ではプライマリケアを中心に全人的医療を行っていくというコンセプトは、先の日本型の総合診療医育成には最も優れたものと考えます。今年度は総合診療医学会学術集会の主催という慶賀すべきイベントが行われます。当部の素晴らしいコンセプトを全国に広げるチャンスでもあると思います。
円清会は、総合診療部の更なる発展を願いつつこれらのイベントの成功の一助になれればと思います。そして次の20年の礎となれるよう努力していく所存です。