留学便り
平成26年11月
九州大学病院総合診療科
池崎 裕昭

2014年9月からアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンにあるJean Mayor USDA Human Nutrition Research Center on Aging at Tufts Universityに研究留学しています。この施設はTufts大学とアメリカ合衆国農務省(USDA)が共同設立した全米に6つある合衆国政府直轄の栄養学研究施設の1つで、世界でも有数の規模の栄養学研究施設です。

私は脂質代謝・栄養と冠動脈疾患の発症リスクに関して、九州大学病院総合診療科で行っている九州の一般住民を対象としたコホート研究(Kyushu and Okinawa Population Study:KOPS)とFramingham Heart Studyの第二世代コホートを対象としたFramingham Offspring Studyとの疫学対照研究を行っています。

ボストンはイギリスからの清教徒が北アメリカ大陸に渡った最初の地であり、アメリカで最も歴史の古い都市の1つで、隣接するケンブリッジにあるハーバード大学、マサチューセッツ工科大学をはじめとして非常に多くの大学を有する学園都市です。また、J・F・ケネディ大統領(隣接するブルックライン市出身)やロックバンドのエアロスミスを輩出するなど文化面でも優れており、上原・田沢選手の所属するレッドソックスをはじめとするアメリカ4大プロスポーツ(MLB、NFL、NBA、NHL)全てのチームがあることからスポーツも非常に盛んで、活気に溢れた街です。

留学に際して不安に思うことは治安と言葉の壁だと思います。日本では銃乱射事件などアメリカの痛ましい事件がよく報道されますが、ボストン周辺はアメリカ国内で最も安全な地域の1つといわれており、週末の繁華街などは夜遅くまで人出で賑わっています。英語に関しては医局からネイティブの先生によるマンツーマン英会話レッスンが提供され、お陰で何とか英語生活を始めることができました。

日本にも多くの優秀な研究者がいらっしゃいますが、各国から探究心旺盛な研究者が集まっている環境での研究生活はとても刺激になります。また、これまでに学会参加などで何度か海外渡航は経験してきましたが、やはり『外国に住む』ということは旅行とは全く違う、貴重な人生経験だと感じています。既に医師としての人生を歩み始めた皆さんはもちろん、医学生や医学部志望の学生の皆さんにも是非、海外留学という選択肢を頭に入れて欲しいと思います。ボストン地域への病院・施設見学など、手伝えることがあればお気軽にご連絡下さい。